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2026.10.06

ブラックエプロン対策|FSC・アグロノミスト・ハシエンダ アルサシアの役割と気候変動

コーヒー農園で生産者と農学者が協力し、研究と支援でコーヒーの未来を守るイラスト

目次(タップで該当部分へ)

この記事でわかること

  • コーヒーの未来に、生産者支援が必要な理由
  • ファーマーサポートセンターとアグロノミストの役割
  • ハシエンダ アルサシアで研究を行う目的
  • 気候変動やさび病が、コーヒー生産へ与える影響
  • オープンソース アグロノミーの意味
  • 融資や暮らしの支援が、コーヒー生産につながる理由

生産者支援は、コーヒーをつくり続けるための取り組み

生産者支援は、コーヒーの品質と、生産者が栽培を続けられる環境の両方を支える取り組みです。

おいしい豆を購買するだけでは、その農園で来年も同じように収穫できるとは限りません。気候の変化、病気、栽培や加工にかかるコストなど、生産者が向き合う課題があるからです。

今回の記事では、「どこで支援するのか」「誰が支援するのか」「何を研究し、共有するのか」を順番に整理します。名称を別々に暗記するよりも、生産者が困っていることと支援の役割を結び付けると理解しやすくなります。

この記事はブラックエプロン学習を目的として、スターバックスのコーヒー知識と公式公開情報を基準に構成しています。一般的なコーヒー業界の説明とは、用語・分類・数値が異なる場合があります。内容が更新される可能性があるため、最新の公式情報も確認してください。

シリーズ全体の位置づけは、ブラックエプロン試験の勉強法と学習ロードマップで確認できます。

まず整理したい、生産者支援の3つの用語

ファーマーサポートセンター、アグロノミスト、ハシエンダ アルサシアは、同じものの別名ではありません。それぞれの役割を分けましょう。

用語何を指すか主な役割
ファーマーサポートセンター(FSC)生産者支援の拠点栽培・品質・生産性などの改善を支える
アグロノミスト農学者、栽培や加工の専門家生産者と協力し、農園の課題に取り組む
ハシエンダ アルサシアコスタリカのスターバックス自社農園栽培の研究・実践を通して、知識を生産者へ共有する

支援の「拠点」、そこで働く「専門家」、研究・実践を行う「農園」と分けると、それぞれのつながりが見えてきます。

支援拠点のFSC、専門家のアグロノミスト、研究農園のハシエンダ アルサシアの役割の違い

ファーマーサポートセンターとは

ファーマーサポートセンターは、コーヒー生産者とそのコミュニティを支援する拠点です。英語のFarmer Support Centerから、FSCと略されます。

農園の課題を相談し、栽培や品質改善の知識を得るための場所として捉えてください。店舗でコーヒーを販売する施設や、豆を焙煎する工場とは役割が異なります。

品質・生産性・コストをまとめて考える

FSCの支援は、コーヒーの味だけに限りません。品質や収穫量の向上、生産コストの管理、C.A.F.E.プラクティスの実施支援なども含みます。

たとえば、土壌分析は「畑を調べて終わり」ではなく、栽培の改善を考えるための情報につながります。新品種の栽培や、変化する気候への対応についても、生産者を支援します。

おいしいコーヒーをつくることと、生産者が農園を続けていくことを、一緒に考える拠点です。

FSCの開設年表

FSCは世界に10拠点あります。最初の拠点は、2004年にコスタリカで開設されました。

開設年国名都市名
2004年コスタリカサンホセ
2006年グアテマラグアテマラシティ
2009年ルワンダキガリ
2011年タンザニアムベヤ
2012年コロンビアマニサレス
2012年中国普洱(プーアル)
2014年エチオピアアジスアベバ
2015年インドネシア(スマトラ)ベラスタギ
2016年メキシコサン・クリストバル・デ・ラス・カサス
2021年ブラジルバルジニャ

コスタリカのFSCは、現在ハシエンダ アルサシア内に移転しています。グアテマラの2006年は、サテライト拠点の開設年です。

2026年の記事作成時点の情報です。

アグロノミストとは|農園の課題に向き合う専門家

アグロノミストは、コーヒーの栽培や加工に関する専門家です。日本語では農学者と説明されます。

コーヒーを抽出するバリスタや、生豆を購買する担当者とは役割が異なります。生産地で農園の状況を確かめ、生産者と協力しながら栽培や品質の改善に取り組みます。

地域に合う方法を、一緒に考える

同じコーヒーの木でも、土壌、雨、日当たり、設備などは地域によって異なります。一つの栽培方法を、どの農園にもそのまま当てはめればよいわけではありません。

アグロノミストは、その地域の課題に合わせて知識を共有し、研修やトレーニングを行います。専門知識を持つだけでなく、生産者が実際に使える形で伝える役割もあります。

スターバックス公式の生産地紹介でも、土壌分析や栽培に関するトレーニングを、生産者と協力して行う様子が紹介されています。

ハシエンダ アルサシアとは|研究を実際の農園で確かめる

ハシエンダ アルサシアは、コスタリカにあるスターバックス初の自社農園です。スターバックスは2013年にこの農園を購入しました。

場所は、コスタリカのポアス火山の斜面。コーヒーを実際に育てながら、栽培や生産に関わる課題を研究・実践する場です。

豆を生産するだけが目的ではない

この農園の重要な役割は、コーヒー生産者が直面する課題を理解し、栽培を続けられる方法を研究することです。

病気や気候変動に強い品種、栽培方法、品質の評価などについて取り組み、その知識をほかの生産者へ共有します。自社農園で得た成果を、そこでしか使わない情報にしない点が大切です。

FSCと研究開発の役割もつながっている

ハシエンダ アルサシアには、コスタリカのFSCや研究開発の拠点としての役割もあります。

前の表では理解しやすいように3つを分けましたが、実際の取り組みでは連携しています。農園で研究・実践し、専門家が知識を整理し、支援拠点を通して生産者へ届ける、というつながりで考えてみてください。

2018年にはビジターセンターが一般公開され、コーヒーが育ち、一杯になるまでの工程を体験できる場も設けられました。今回の学習では、観光施設としての面だけでなく、研究と知識共有の役割を中心に押さえます。

ハシエンダ アルサシアのコーヒーは、お店でも楽しめる

ハシエンダ アルサシアで育ったコーヒーは、商品としても販売されています。

商品取扱い・発売日
ディカフェ コスタリカ ハシエンダ アルサシア®現在、スターバックス リザーブ®取扱店舗の一部で取り扱っています
スターバックス® ハシエンダ アルサシア®2026年9月30日に一般店舗でも発売されました

資金と暮らしも、生産者支援の一部

栽培の知識があっても、必要な資金や生活の基盤が整わなければ、農園を続けることは難しくなります。生産者支援には、融資やコミュニティへの投資も含まれます。

Root Capital・Fairtrade Access Fundと連携した融資

スターバックスは、Root Capital(ルート キャピタル)やFairtrade Access Fund(フェアトレード アクセス ファンド)と連携し、生産者への融資を支援してきました。

小規模な生産者には、融資を受けにくいという課題があります。必要な資金を借りられるよう支援することは、生産者が適切な時期に生豆を販売し、農園を続けることにつながります。

融資は、お金を貸す支援です。寄付や、コーヒーの購入代金そのものとは区別してください。

タンザニアでの、暮らしを支える取り組み

タンザニアでは、Heifer International(ヘイファー・インターナショナル)と協力し、小規模コーヒー農園を支える取り組みが行われてきました。

  • 乳牛の導入
  • きれいな水へのアクセス改善
  • 衛生施設へのアクセス改善
  • 再生可能エネルギーへのアクセス改善

コーヒーの栽培だけでなく、暮らしの環境を支えることも、コーヒー生産を続ける土台になります。

支援の面この記事で扱った例
栽培・品質FSCやアグロノミストによる支援
資金Root Capital・Fairtrade Access Fundと連携した融資支援
生活・コミュニティタンザニアでの乳牛、水、衛生施設、エネルギーへの支援
コーヒー生産者を支える栽培・品質、融資、生活・コミュニティの3つの支援と、タンザニアでの乳牛や水への支援例を示す図。

気候変動は、コーヒー生産へどう影響する?

気候変動は、コーヒーを育てる環境や生産計画に関わります。

コーヒーの木は、どのような気候でも同じように育つわけではありません。気温や雨、日照条件の変化によって、生産者がこれまでの方法で栽培を続けることが難しくなる場合があります。

生育環境の基本は、ブラックエプロン対策|産地とテロワールの記事と合わせて振り返ると理解しやすくなります。

気温だけでなく、雨や病害虫にも目を向ける

「気候変動=気温が上がることだけ」と覚えないようにしましょう。

公式の生産地紹介では、日照条件や生産計画への影響、害虫や病気の広がりなども課題として説明されています。収穫できる量や品質に影響すれば、生産者の暮らしにもつながります。

ただし、すべての産地で同じ影響が、同じ程度に起きるという意味ではありません。地域ごとの課題を確かめ、対応を考える必要があります。

さび病とは|コーヒーの木の葉に起こる病気

コーヒーのさび病は、菌によって引き起こされる、コーヒーの木の葉の病気です。Coffee Leaf Rustとも呼ばれます。

名前に「さび」とあっても、金属のさびが木につくわけではありません。また、焙煎した豆が古くなった状態を指す言葉でもありません。

品質と収穫を支えるために、病気への対応が必要

さび病が広がると、コーヒー生産へ深刻な影響を与えることがあります。そのため、病気に強い品種の研究や、苗木による支援が重要になります。

学習では、さび病という課題に対して、耐性のある品種の研究と、生産者への支援がつながっていると整理しましょう。

「病気に強い」は「絶対に病気にならない」と同じではありません。苗木を提供すれば、それだけで気候変動や栽培の課題がすべて解決するとも考えないことが大切です。

気候変動やコーヒーの葉のさび病という課題に、栽培の研究、苗木、研修を組み合わせて対応する図

オープンソース アグロノミーとは

オープンソース アグロノミーは、研究で得た農学の知識や情報を、無償で共有する考え方です。

スターバックスがその農園からコーヒーを購買するかどうかにかかわらず、生産者が研究結果や栽培の知識を学べる点が重要です。

自社だけでなく、コーヒー産業の未来へつなげる

病気に強い品種や、よりよい栽培方法が見つかっても、情報が必要な生産者に届かなければ、広く生かすことはできません。

そこで、研究結果を共有し、生産地での研修やトレーニングへつなげます。生産者が知識を実際の栽培に使えるようにすることまで含めて考えると、FSCとアグロノミストの役割がつながります。

「無償で情報を共有する」という意味であり、すべての支援や農園運営の費用が無条件に無料になるという意味ではありません。

研究で得た栽培の知識を、取引の有無にかかわらず生産者へ無償で共有するオープンソース アグロノミー

ブラックエプロン学習で間違えやすいポイント

混同しやすいこと整理しておきたいこと
FSCとアグロノミストを同じものとして覚えるFSCは支援拠点、アグロノミストは専門家
ハシエンダ アルサシアは販売用の豆を育てるだけ栽培の研究・実践と知識共有にも役割がある
気候変動は気温だけの話雨、日照、生産計画、病害虫などにも関わる
さび病は金属のさびや、豆の劣化菌によって起こるコーヒーの木の葉の病気
スターバックスと取引する農園だけが情報を学べるオープンソース アグロノミーでは取引の有無を問わず知識を共有

数字を学ぶときは「いつの情報か」も確認しましょう。拠点数、苗木の配布本数、環境目標の達成状況などを、年度を外して覚えると混乱しやすくなります。

理解度チェック

第1問:FSCの役割

ファーマーサポートセンターは、誰を、どのような面から支援する拠点ですか。

第2問:アグロノミスト

アグロノミストは、どのような分野の専門家ですか。店舗でコーヒーを抽出する役割との違いも説明してください。

第3問:ハシエンダ アルサシア

ハシエンダ アルサシアがある国と、スターバックスがこの農園を購入した年を答えてください。

第4問:さび病

「コーヒーのさび病は、金属のさびが原因で、焙煎豆に起こる」。この説明は正しいでしょうか。

第5問:オープンソース アグロノミー

「研究結果を共有する対象は、スターバックスが豆を購買している生産者に限られる」。この説明は正しいでしょうか。

理解度チェックの答えと解説

第1問の答え

コーヒー生産者とそのコミュニティを支援する拠点です。

栽培、品質や生産性の向上、生産コスト管理などを通して、生産者がコーヒーづくりを続けられるよう支えます。

第2問の答え

コーヒーの栽培や加工に関わる専門家、農学者です。

生産地で生産者と協力し、農園の課題に取り組みます。店舗で一杯を抽出するバリスタとは役割が異なります。

第3問の答え

コスタリカ、2013年です。

コーヒーを実際に育てながら研究し、成果を生産者へ共有する役割を持ちます。

第4問の答え

誤りです。

菌によって起こるコーヒーの木の葉の病気です。金属のさびや、焙煎豆の劣化とは別です。

第5問の答え

誤りです。

購買・取引の有無にかかわらず、生産者が知識を学べるよう、情報を無償で共有します。

まとめ|支援の拠点・専門家・研究農園をつなげよう

生産者支援は、おいしいコーヒーをこれからもつくり続けるための取り組みです。

  • FSCは、生産者支援の拠点
  • アグロノミストは、栽培や加工の専門家
  • ハシエンダ アルサシアは、研究・実践と知識共有を担う自社農園
  • 気候変動やさび病などの課題に、研究と支援を組み合わせて対応する
  • オープンソース アグロノミーは、取引の有無にかかわらず知識を無償で共有する考え方
  • 融資や生活環境の支援も、農園を続ける土台になる

名称を覚えたら、それぞれが生産者のどんな課題と結び付くのか、一言で説明してみてください。

Web記事で理解した内容を、自分の言葉で説明できるか確かめたい方へ。

REIYA / ブラックエプロン勉強Chも、学習のアウトプットに活用してください。

参考にした公式公開情報

筆者:REIYA / 元スタバ・ブラックエプロン

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